中国にフォーカスした(しかしセイシェルに登記されている)暗号資産(仮想通貨)取引所クーコイン(KuCoin)のベンチャー部門であるクーコイン・ベンチャーズ(KuCoin Ventures)は、オフショア人民元(CNH)の価値に固定されたステーブルコインであるCNHコイン(CNHC)の発行元として、1000万ドル(約13億3500万円)の資金調達を行った。
CNHCはオフショア人民元と1対1で固定されており、その略号は、中国のオンショア人民元(CNY)と区別するためにCNHだ。CNHの積立金は香港の預託機関に保管されている。
クーコインの最高投資責任者であり、クーコイン・ベンチャーズを率いるジャスティン・チュー(Justin Chou)氏は声明で、「今回のCNHCへの投資は、APAC地域のWeb3インフラに投資するというクーコイン・ベンチャーズの幅広い戦略の一環だ」と述べている。「香港では伝統的な金融のエコシステムが確立されている。次世代暗号資産に対する規制と新しい政策により、香港は世界の暗号資産の新しい中心地になるチャンスがある」。
CNHCは、イーサリアム(Ethereum)とConfluxの両方で発行されている。オンチェーンデータによると、イーサリアムはトークンの保有者が23人、送金が102回、Confluxは保有者が606人、送金が1487回となっている。
Confluxの共同創業者であるファン・ロン(Fan Long)氏は、Confluxがここでボリュームの大半を獲得しているのは、Confluxの中国における「規制遵守」のためだと述べている。
「CNHCの意義は、特にアメリカで規制が強化される中、伝統的な金融システムを新興のWeb3ランドスケープと接続する能力にある」とロン氏は米CoinDeskにメモで述べている。「CNHCは、アメリカ中心の規制の枠組みを超えたコンプライアンスオプションを求める企業やユーザーにとって、実用的な選択肢を提示するものだ」。
米ドルに対抗する存在へ
ステーブルコインは、圧倒的に米ドルに連動するものが多い。ユーロや英ポンド、あるいはオーストラリアドル、カナダドル、シンガポールドルのような他の国の通貨をベースにしたステーブルコインもあるが、テザー(USDT)やUSDコイン(USDC)のような米ドルとペッグしたステーブルコインの発行量には到底およばない。
これは、米ドルの覇権をより強固なものにしたとも言える。米CoinDeskのコラムニストは、金融の次のフロンティアがドル建てであることは、アメリカのルール作りをイーサリアムに広げることになるため、概ね良いことだと主張している。
しかし同時に、すべての人がアメリカのルールに従いたいわけではない。特にアメリカとつながりのない場合はなおさらだ。アメリカの規制当局も、厳格な連邦政府の監視が確立されるまでは、暗号資産がアメリカの銀行システムに完全に自由にアクセスできるようにすることをためらっている。
市場自体も、これがもたらすアメリカへの集中のリスクを望んでいるわけではない。USDCは、暗号銀行危機の際に数日間ペッグから外れ、つい最近取り戻したが、スマートマネー(機関投資家や大規模トレーダー)は懐疑的である。
取引所BitMEXの共同設立者であるアーサー・ヘイズ(Arthur Hayes)氏は、これらすべての答えとして、ビットコインを担保とするアルゴリズムステーブルコイン「NakaDollar」を考えているが、昨年のテラ (Terra)の破綻の後、市場はこのコンセプトに懐疑的になっているかもしれない。
CNHは中国のオフショア債券市場で成功した使用例があり、そのために作られたものであることは確かだ。しかし、暗号資産はまったく別のものなので、懐疑的な人がいないわけではない。
台北に拠点を置くMaicoinのアレックス・リウ(Alex Liu)CEOは、米CoinDeskとの最近のインタビューで、人民元はオンまたはオフショアであまりにも厳しく管理されているため、うまくいかないだろうと述べている。
「米ドルにとっての唯一の挑戦者は人民元だと思う。しかし、暗号資産を通じてではなく、中国の中央銀行デジタル通貨を通じてでもない」と述べ、真の焦点は人民元建ての契約で取引される石油だと主張した。「ロシアと中国の間のほとんどの貿易は、非ドル化されている」。
参考資料:https://www.coindeskjapan.com/177853/
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Source: Rippleリップル)仮想通貨情報局