「見ているのはもっと愚か者」、ビットコインはなくならないと金融界の大物が認める

過去10年で、おそらく暗号資産(仮想通貨)批判派の急先鋒だったフィナンシャル・タイムズ(FT)が、ビットコインには目的があるかもしれないと認めた。

これは、トランプ元大統領からブラックロックのラリー・フィンクCEOに至るまで、人々の暗号資産に対する見方に大きな変化が起きていることを示す最新の出来事だ。FTは何が起きているかを完全には把握していないかもしれないが(そもそも誰が把握しているのか?)、重要だということは感じ取っているようだ。

「長期投資としてのビットコインの見通しについて、強気派がほぼ正しいことが証明された」と、ロックフェラー・インターナショナル(Rockefeller International)会長のルチール・シャルマ(Ruchir Sharma)氏は、『Once dismissed as fanatics, the bitcoin bulls must be feeling vindicated(かつて狂信者と見なされていたビットコイン強気派は、正当性が証明されたと感じているに違いない)』と題するオピニオン記事の中で書いている。

同氏は、ビットコイン(BTC)が伝統的に、吊り上げられた後に叩き売られるペニー株のように振る舞ってきたことを指摘。だがバブルが崩壊し、すぐに回復した事実は「何か現実的で持続可能なことが起きていることを示している」と述べた。

「このような時にぴったりの、ウォール街の古い格言がある。『踊っているのは愚か者だけだが、見ているのはもっと愚か者(only the fools are dancing, but the bigger fools are watching)』」と、シャルマ氏は続けた。

長年の批判的姿勢

確かに、これはイギリスを拠点とする同紙や編集委員会の公式見解ではなく、単なる寄稿者の一意見に過ぎない。しかし、FTがこのような記事を掲載したことに大きな意味があることに変わりはない。何年もの間、FTはこうしたオピニオン記事を掲載してこなかった。

同紙の記者や編集者の多くは暗号資産を断固として批判しており、暗号資産で何かうまくいかないことがあると(よくあることだ)、あらゆる機会をとらえて否定的な記事を書いたり、自己満足的な発言を投稿してきた。

FTの博識なデイリーマーケットブログ「Alphaville」ほど、この傾向が顕著なものはない。以下は、Alphavilleが過去4年間に掲載した暗号資産に関する見出しの一部。

ビットコインETFが市場を拡大する証拠はほとんどない』(これは間違っていた)

暗号資産を燃えるままにしておけ(素敵な表現だ)

ステーブルコインが暗号資産をいかに不安定にしているか(テザー危機の考察)

ビットコインがマドフ式ネズミ講より悪い理由(マドフもかなりひどかった)

なんと、今度はデロイトがくだらない暗号資産に手を出した(企業が新興テクノロジーに関心を持つなんてとんでもない)

暗号資産ビュッフェランチは延期された。ウォーレン・バフェット氏はラッキー(これは正しいかもしれない)

汚名返上

注目すべきは、元Alphaville編集者のイザベラ・カミンスカ(Izabella Kaminska)氏が2020年にビットコインについて心変わりし、最終的に2年後にFTを辞めたことだ(理由はいろいろある)。

同氏は当時、「私の中には、暗号資産市場を量的緩和とzirp(ゼロ金利政策)時代が生み出した、最悪の根拠なき熱狂のための一種のハニートラップだという考えが常にあった」と書いている。

世界のトレンドセッターやパワーブローカーの間でビットコインへの評価が高まっていることは、必ずしも全面的な暗号資産への支持に結びつくわけではないが、ブロックチェーンテクノロジーについてより真剣に考える人々が増える扉を開くことになる。

言い換えれば、暗号資産は汚名を返上しつつある。これがエリート層界隈でどこまで浸透するかは時間が経てばわかるだろう。おそらく、ビットコインの成功の継続にかかっている。

しかし、ビットコインを嘲笑したり、妬んだり、敬遠するのではなく、金融ツールの一部と見なすことが当然のことになる日が来ることは想像できる。

トランプ元大統領は2021年に暗号資産を「詐欺」と呼んだが、最近ではCNBCで暗号資産を「楽しんでいる」と語り、ビットコインを「通貨の追加形態」と呼んだ。

これは、大統領選挙キャンペーンが盛り上がる中でトランプ氏が初めて発した肯定的なコメントではなく、同氏がもはや暗号資産を自身の「アメリカ・ファースト」のアジェンダに対する脅威と見ていない、あるいはポピュリスト仲間だと考えていることを示している。

また、ビットコインや暗号資産を全面的に支持する人でなくても、この業界を批判する人の数は減少しているようだ。

この変化には、アメリカでビットコインETFの上場が成功したことなど、複数の要因が影響している。ビットコインへのエクスポージャーに対する強い需要が鬱積していたことを証明しただけでなく、潜在的な市場操作への恐怖心を煽る米証券取引委員会(SEC)の長年のやり方が見当違いだったことも証明した。

さらに重要なことは、シャルマ氏のコラムが示するように、エリートたちは自分たちが間違っていることにうんざりしていることだろう。批評家たちが自分たちの頭を検査しなくてはならなくなる前に、ビットコインに批判的な記事を書ける機会はなくなってきている。

批判の質の向上に期待

もちろん、エリートたちがビットコインが消滅しないことを渋々受け入れるかどうかはあまり重要ではない。暗号資産にはまだ欠点がある。期待されることは、飽き飽きした議論を繰り返す人が減ることで、業界批判の質が高まることだ。

シャルマ氏自身は、ビットコインが現実的な投資であることを認めつつも、まだ懸念を持っている。同氏は、ビットコインが通貨としてあまり使われておらず、「『デジタルゴールド』になるという考え方はまだ夢物語」と指摘する。ビットコインがマニア以外にはコーヒーを買うために一般的に使われていないことは間違っていないが、同氏は矛盾したことを言っている。

シャルマ氏は、70%のアドレスが1年以上不活発なのは、人々がビットコインを買い持ちしているからだと指摘する。だがそれは、買い手が価値の保存手段としてビットコインを認識しているからだ。

ビットコインは現在、金の時価総額には及ばないが、一体何がその行く手を阻んでいるだろうか? 3月上旬には、ビットコインの時価総額は1兆4000億ドルを超え、銀と並んだ。

ビットコインにとって、あり得ないことは何もない。上昇することも、数カ月間横ばいで推移することも、下げに転じることもあり得る。どのような価格でも買いたいというビットコイナー(おそらく以前、シャルマ氏が大馬鹿者と呼んでいただろう人々)が増加していることを考えると、ゼロになることはないだろう。

ビットコインに投資するしないにかかわらず、ビットコインがあなたを驚かせない方には賭けない方が良いだろう。

参考資料:https://www.coindeskjapan.com/223390/ 

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Source: Rippleリップル)仮想通貨情報局