伝説的投資家として知られるウォーレン・バフェット氏は、いまだに暗号資産(仮想通貨)を忌み嫌っているかもしれない。しかし、伝統的金融機関(TradFi)の大物たちは、「皆が貪欲な時に恐怖心を抱き、皆が恐怖心を抱いている時に貪欲であれ」というバフェット氏の格言に従っている。今年の低迷を受けて、デジタル資産に大挙して押し寄せているのだ。

ビットコイン(BTC)価格が昨年11月に記録した史上最高値よりも70%以上も値下がりした今回の「暗号資産の冬」は、暗号資産がどれほど変動しやすいかを痛ましいほどに思い知らせてくれた。しかし、今回の冬は、TradFiが暗号資産に傾倒したことで、以前の冬とは異なるものとなっている。

アメリカ第2位の証券市場ナスダック(Nasdaq)は今週、暗号資産のカストディサービスを開始すると発表。カストディとは投資家の資産を安全に預かることで、機関投資家の間で急速に高まる暗号資産に対する需要から利益を上げることが狙いだ。

これに先立ち先月には、世界最大の資産運用会社ブラックロックが企業クライアントに暗号資産サービスを提供すると発表した。アメリカの全証券取引を処理するDDTC(Depository Trust & Clearing Corp)も、取引決済の高速化を狙って独自ブロックチェーンを立ち上げた。

これらの企業は、今年暗号資産業界に進出した大手TradFi企業の一部に過ぎない。彼らに共通するのは、機関投資家からの強い需要に言及している点だ。より小規模な投資家たちはいまだに、今年の値下がりから受けた傷から立ち直ろうとしているが、TradFiが暗号資産業界からどのように利益を上げられるかという方向にナラティブはシフトしており、多くの人が金融の未来と呼ぶ暗号資産を受け入れる動きが広がっている。

様子見する投資家を引き込む

TradFiの暗号資産への進出はまだまだ終わらないだろう。弱気相場の間にナスダックやその他の大手TradFi企業が暗号資産業界へ参入していることから、暗号資産業界もまだまだ終わりではなない。

「傍観している投資家が多くいると考えている」と、新しい暗号資産取引所EDXマーケッツ(EDX Markets)のCEOジャミル・ナザラリ(Jamil Nazarali)氏は語った。

ナザラリ氏自身も、TradFiから転身したばかりだ。以前は、アメリカ最大級の証券取引会社シタデル・セキュリティーズ(Citadel Securities)で上級レベルの役職に就いていた。

シタデルやチャールズ・シュワブ(Charles Schwab)、フィデリティ・インベストメンツ(Fidelity Investments)などの大手企業から支援を受けていることを考えると、EDXもTradFiの暗号資産進出トレンドの一部と見ていいだろう。

暗号資産に進出しようとする大口投資家たちは、新規のブローカーや取引サービス提供業者を通じて投資するのではなく、既存のパートナーを使いたいと考えるだろうと、ナザラリ氏。

多くのTradFi銀行は、企業顧客が暗号資産業界へと分散投資できるようなオプションを提供するために、暗号資産と関連するプロダクトへと手を広げている。

デジタル資産関連のサービスを積極的に拡大しているフランスの金融機関ソシエテ・ジェネラル(Societe Generale)も21日、暗号資産投資を検討する資産運用会社に新しいサービスを提供すると発表した。

ナスダックのカストディサービス提供は、「さらに多くの機関投資家を引き入れることになるので歓迎だ」と、ナザラリ氏。TradFiがゆっくりと暗号資産に足を踏み入れることはスタートとしては好調であり、ゆくゆくは一段と広範な暗号資産の普及につながると、ナザラリ氏は考えている。

規制の明確さ

TradFiの間で暗号資産の大規模な普及を妨げている大きな要因の1つが、規制をめぐる不透明感だ。多くの暗号資産サービスは、どの法律に従うべきかについて規制当局からの指示を待っている状態だが、進展はゆっくりだ。アメリカでは、どの規制当局がどれほど厳重に暗号資産を管轄するのか、まだはっきりしない。

「すでにこの業界に何年もいて、規制の明確さを待ち続け苦労する起業家を目にする」と、暗号資産管理プラットフォーム、ハッシュデックス(Hasdex)のブルーノ・ラモス・デ・スーサ(Bruno Ramos de Sousa)氏は語った。

米証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長は、暗号資産業界にはこれ以上具体的なガイダンスは必要ないと主張。伝統的投資家たちは混乱したまま取り残され、規制当局は適切な管轄の仕方を見極めようとしている。アメリカがさらなる明確性を提供せず、暗号資産市場の重要性がさらに高まれば、国際的な金融の大物というアメリカの立場が揺らぐかもしれない。

ウォーレン氏とアップル

もう1つ疑問が浮かぶ。TradFiが暗号資産を乗っ取って、昔ながらの金融のようなものにしてしまうのか?それとも逆に、暗号資産が金融の仕組みを抜本的に変えていくのだろうか?

伝統的金融機関がデジタル資産の世界に進出し、規制当局が市場を管理する一段と保守的な方法を持ち込む中、暗号資産がウォール街タイプの人たちに吸収され、現状の金融のようなものになってしまう可能性もある。

一方、暗号資産企業も、TradFiの領域へと進出している。例えば、暗号資産取引所大手FTXのアメリカ法人FTX.USは今年、株式の取引サービスを導入した。大手暗号資産取引所は証券取引所を買収できるほどの資金を持っていると、ラモス・デ・スーサ氏も主張する。あらゆる伝統的資産をトークン化し、暗号資産の精神を金融システムにもたらそうという議論も存在するのだ。

ここでもウォーレン・バフェット氏が、教訓を提供してくれる。彼はテック企業は自らの手に負えないと主張し、長年テック株を避けてきたことで有名だ。しかし数年前、テックの中のテックとも言えるアップル株に手を出した。消費者の間で確立されたアップルブランドの強みが、彼が好んできた他の企業の支配的な地位に似ているのを認識してのことだった。

彼の転換は巨大なものだった。アップルは現在、バフェット氏が立ち上げたバークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)の抱える最も大きな投資先の1つとなっている。かつて投資をためらっていた業界でのバフェット氏の動きは、暗号資産業界におけるTradFiに方向性を示してくれるかもしれない。

「私が知る世界の企業の中で、おそらくベストだろう」と、バフェット氏はかつて、アップルについて語った。「もっとはやく、その価値を理解するべきだった」と。

参考資料:https://www.coindeskjapan.com/160963/ 

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Source: Rippleリップル)仮想通貨情報局