筆者であるジェームズ・クーパー(James Cooper)氏は、米国サンディエゴにあるカリフォルニア・ウェスタン・スクール・オブ・ローで法学の教授を務めている。法律分野のディスラプティブな技術に関して政府の顧問を務めたり、アジアのブロックチェーン企業への助言を行った経験を持つ。


「ブロックチェーン」という言葉のつくアイディアになら誰もが投資していた仮想通貨熱の絶頂期に、国家の終焉についての憶測が多く飛び交っていた。分散型台帳技術は、巨大テックプラットフォームや、お金を持ち過ぎた金融機関のような仲介業者の崩壊をもたらすだけではなく、主権国家自体の優位にも挑戦を突きつける可能性がある。分散化とは、民主的プロセスが更に水平的で更に敏感に反応し、より直接的かつ効率的になる可能性があることを意味する。

ブロックチェーン技術とそれによって作られた仮想通貨は、国家が通貨に対して維持してきた独占状態にも挑むことになった。伝統的に、法定通貨の製造、印刷、管理は厳格に国家だけの行為とされてきた。しかし、国家が認知し、法定通貨が裏付けとなる仮想通貨の開発は、国家の役目が決してまだ終わってはいないことを意味していた。

中国のデジタル通貨電子決済と一帯一路

一部の少数の国々は、法定デジタル通貨の勇敢で新しい世界へと足を踏み入れた。最大規模で、最も野心的な中央銀行デジタル通貨プロジェクトは、中国のデジタル通貨電子決済(Digital Currency Electronic Payment:DCEP)である。今では「中国ブロックチェーンの日」と呼ばれるようになった2019年10月24日、習近平国家主席は、中国のブロックチェーン戦略と新しい国家が承認する仮想通貨プロジェクトの展開を発表した。多くの主要経済大国の指導者たちが最初の動きを起こすことを恐れる一方、中国は仮想通貨を違法としながらも、ブロックチェーンを何年も研究してきた。中国はたびたび、新規コイン公開(ICO)や仮想通貨取引所を禁止してきた。中国の法執行機関は、中国のホテルで仮想通貨関連のカンファレンスを開催することさえ阻止した。

フェイスブック(Facebook)のマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)氏が米議会に対して、中国に先手を取られないように、フェイスブックがデジタル通貨リブラ(Libra)を市場に届けることを支援した方が良いと警告した際、中国の官僚たちは本腰を入れた。数カ月のうちに、蘇州市と深セン市での初期テストを伴うDCEP計画をローンチしたのだ。このシステムの強みは、その相互運用性と、利用するのにオンラインである必要がないという点だ。中国の法定通貨、人民元に裏付けられているというのも、害にはならない。保険、医療、金融、エネルギー、消費者の購入を、1つの統合されたパブリックブロックチェーンにレイヤリングすることで、規模の経済と、民間および公共の物品のより効率的な分配が実現する。しかも中国だけではなく、野心的な一帯一路構想に参加する71のパートナーを伴って世界中で実現するというのだ。

マーシャル諸島、ベネズエラ、スウェーデンの実験

それに先んじて、マーシャル諸島共和国の国家デジタル通貨ソブリン(SOV)があった。SOVは、タイムド・リリース・マネタリー・イシュアンス(TRMI)という手法を使い、長期間にわたったセールスを通じて導入される。マーシャル諸島は、同国のアンチマネーロンダリング(AML)および顧客確認(KYC)規則を改善し、SOVが米財務省や国際通貨基金(IMF)の規制に違反しないように留意しなければならない。

さらに怪しい中央銀行デジタル通貨プロジェクトである、ベネズエラのペトロは、100万%のインフレが、この南米の炭化水素大国の経済を苦しめる中、2019年にリリースされた。しかし、ベネズエラに対するアメリカの制裁や、このデジタル資産が中国やロシアからの貸付に対する担保になってしまっている石油備蓄に裏付けられているという事実から、このプロジェクトは失敗だ。

「法定通貨に裏付けられたデジタル通貨を試してみよう」という領域でベネズエラの対極と呼べるのは通常保守的なスウェーデンで、2週間前、スウェーデン国立銀行によるeクローナプロジェクトの試験が発表された。この試験は、キャッシュ利用嫌いで知られるスウェーデン人が国家デジタル通貨を活用する方法を研究しようとする、スウェーデンの中央銀行であるスウェーデン国立銀行による試みだ。

他の工業化された先進国が後に続く中、国家は我々の暮らしの中で重要な役割を果たし続けるだろう。国家が何世紀にもわたって維持してきた主要な役割が、民営化や規制撤廃、そして教育、医療、情報通信、廃棄物管理、軍の供給と武装といった本質的に政府の活動であったものをアウトソーシングしたことによって、少しずつ削り取られてきたのは皆が知っているところだ。

この空洞化のプロセスは断じて完了していない。国家は、法定通貨に裏付けられたデジタル通貨の到来によって返り咲きを果たしている。結局のところ、ブロックチェーンや仮想通貨などの分散型技術に対する国家の統制ほど、中央集権的なものはないのである。 

参考資料:https://www.coindeskjapan.com/44060/ 

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Source: Rippleリップル)仮想通貨情報局