わかっている。ミームコインはバカげてる。不真面目。時間の無駄。暗号資産(仮想通貨)業界はくだらないという印象を与える。投機家だらけ。ヴィタリック・ブテリン氏が言うとおり、人々が合法的なプロジェクトに集中した方が業界全体は良くなるだろう。
しかし、しかしだ。ミームを金融化しようとすること以上にダサいのは、ミームコインに文句を言うことだ。ミームコインがいかにこの「金融ニヒリズム」の時代を象徴しているか、深く考えるのは自由だが、それを声に出して言うのは恥ずかしい。特に、損をした人が口にする場合は、なおさらだ。
私も、ミームコインが必ずしも賞賛されるべきだとは思わない。特によくあげられるような理由で。今回のサイクルの現時点では、たとえ、柴犬コイン(SHIB)やドッグウィフハット(WIF)のような「優良銘柄」だとしても、少なくともまだ、新規の投資家を呼び込んでいないことは明らかだ。
ミームコインに投資することで形成される「コミュニティ」が、長期的に持続可能かどうかは疑わしい。そしてもちろん、これらのトークンが人々に「世代を超えた富」をもたらすと示唆することは無責任だ。
ミームコインの意義
ミームコインは、投機的な投資手段だ。ミームコインへの関心と投資資金はほぼ無限にあるように見えるが、それは本質的に、あなたが同意しようとしまいと、「投機がユースケースである」ことを証明している。
リヴァ・テズ(Riva Tez)氏が「Consensus 2024」で述べたように、ミームコインは人々の真のニーズを満たすことで、暗号資産が「ストーリー戦争」に勝つ手助けをしている。ミームコインは、人々をありのままでいさせてくれる。
カジノや、宝くじのような国家公認のギャンブルを道徳的な理由で批判するのは結構だが、ミームコインも存在理由は同じ。人は自分の人生が、大した努力をしなくても一瞬で変わることを夢見たがる。それは意志では取り除くことのできない望みであり、ブロックチェーンベースのトークンでのギャンブルは、スクラッチ式の宝くじに匹敵する。
さらに重要なのは、ミームコインが注目度を調整・測定するツールであることが明らかになりつつあることだ。名前にもそれが表れている。ミームコインは模倣、つまりアイデアが共有されることによって文化的に認められるプロセスに関するものだ。
ミームコイン取引プラットフォーム「Hype」を開発しているラヴィ・バカイ(Ravi Bakhai)氏が説明するように、ミームコインは本質的に、その時々に重要性のあるものを判断するための、一般化された大きな賭け市場になっている。例えば、ラッパー、イギー・アゼリア氏のMOTHERトークンは、彼女の名声と、暗号資産愛好家の聴衆を引きつける彼女の能力に文字どおり値段をつけた。
注目や関心(アテンション)そのものが希少な商品であるという考えに基づく「アテンションエコノミー」における暗号資産の位置づけについては、長年にわたって多くが語られてきた。そしてこのように人気を「クラウドソーシング」することの価値を過大評価するのは簡単だ。
ミームコインが世界について明らかにしたことは、つまり、人々はかわいい犬が好きで、信じられないほど人種差別主義者になり得ることだ。
しかし、だからといって、ミームコインの背後にある根源的なものが、いつかもっと役に立つ日が来ないとも限らない。金銭的利害を持ったユーザーは真実を語る動機を持つため、予測市場がセンチメントを理解するのに役立つのと同じように、ミームコインもまた、ノイズを遮断するのに役立つかもしれない。
これは、政治と金融の合成語である「PoliFi」という新たなカテゴリーや、候補者の再選確率に賭けるための指標として一部の人が利用している、JEO BODEN、MAGA、elizabath whorenといったトークンの背景にある考え方だ。そしてこれは政治に限ったことではない。
CalaxyのCEOであるソロ・シーセイ(Solo Ceesay)氏は先日、The Defiantに寄稿した文章の中で次のように指摘している。
「ミームコインは、個人の集団が仲介者を介さずに、商取引、貿易、コラボレーションを促進する経済インフラを構築できるという典型的な例である。ブロックチェーン以前は、これは事実上不可能だった」
ビットコインとミームコインの違い
最後に、2013年のドージコイン(DOGE)の誕生が示したように、ミームコインは本質的に、テズ氏が言うように「パフォーマンスアート」のための白紙のキャンバスに過ぎないということは注目に値する。共同制作者のビリー・マーカス(Billy Markus)氏とジャクソン・パーマー(Jackson Palmer)氏は、ドージコインはビットコイン(BTC)のパロディーに過ぎないと語っていた。
それは実は、ミームコインが本質的にすべての暗号資産を動かしている金融的・心理的メカニズムを明らかにしているという、ミームコインに対する最も鋭い批判の核心を突いている。
ビットコイン価格がゼロになる可能性は低いが、ビットコインに価値があるのは大勢の人々がそう言っているからであり、BALDトークンのようなものが一時的に価値を持った(そしてその後価値がなくなった)理由と同じだ。
唯一の本当の違いは、一方はデジタル時代に機能する価値の保存手段が必要という信念に裏打ちされ、もう一方はコインベース(Coinbase)を運営する人物を馬鹿にしたいという願望に裏打ちされていることだ。
これを、ビットコインが巨大なネズミ講である証拠と見る人もいれば、利害を共有することで人々の足並みを揃えさせるという経済の奇跡の美しさに涙する人もいる。
同様に、ミームコインの最悪の側面は他の暗号資産にも当てはまる。セレブがトークンを立ち上げ、そのファンを流動性として利用して利益を得るのは見苦しい。ラグ・プル(資金の持ち逃げ)は批判に値する。執拗な富の追求は腹立たしい。しかし本当の意味で、ミームコインにはどこかもっと正直なところがある。幻想を抱かせないのだ。
結局のところ、ミームコインをどう見るかは、その人がどれだけ真面目かに尽きるだろう。ミームコインが暗号資産の評判を悪くしていると考える人は本当にいるが、彼らはほとんどの人が暗号資産をそのように見ているという事実に気づいていない。
私は犬のトークンを買うことはないと思う。しかし、ミームのマネタイズに反対するのは、負け戦に思える。
参考資料:https://www.coindeskjapan.com/236848/
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Source: Rippleリップル)仮想通貨情報局