私たちが5年前にブロックチェーン協会(Blockchain Association)を設立したとき、デジタル資産業界が業界団体を有効に活用して、議会や他の連邦規制機関の前で優先事項を主張できるかどうか、保証はなかった。
当時、アメリカの政治の中心地であるワシントンD.C.で最も根強い疑問は、市場構造やNFTへの課税、プログラムは合衆国憲法で保護されているかどうかといった複雑な疑問よりも、暗号資産(仮想通貨)が数年後も存在しているかどうかだった。複雑な問題の方はまだ議論の余地があるが、暗号資産の持続力に疑いの余地がないことは明らかだ。
ブロックチェーン協会が設立から5年を迎えるにあたり、一度立ち止まって、これまでの5年間を振り返るとともに、今後、アメリカ議会でこの業界の言い分を主張するうえでの成功を決定づけるであろう課題を展望する価値はあるだろう。
トランプ元大統領のアンチビットコイン的なツイートから、急激な市場の上昇と驚くような下落、テラ(Terra)ブロックチェーンとFTXの崩壊まで、デジタル資産業界はここ数年、大きな混乱に見舞われてきた。しかも、業界を監視するのは、アメリカの暗号資産エコノミーを海外に押しやることに専念しているように思え、ますます敵対的になっている証券取引委員会(SEC)だ。
とはいえ、このような劇的な出来事の中でも、暗号資産の普及は続いている。複数の米大統領選候補者陣営が、アメリカ国内のデジタル資産業界を支持する声明を出さざるを得ないと感じてきた。その結果出てきたニュースは、暗号資産にはあまり好意的でないとはいえ、バイデン政権がデジタル資産のエコシステムを重要視し、このテクノロジーを研究し、責任ある規制を推奨するよう連邦政府に指示する大統領令を出したことは注目に値する。
では、今後5年間、ワシントンD.C.における暗号資産はどうなっていくのだろうか。過去5年間の映画のような浮き沈みを考えると、妥当な予測をしようと試みるのは愚かなことのようにすら思えるが、議会、ホワイトハウス、連邦規制機関が焦点を当てそうな分野がいくつかある。
マネーロンダリングという悩みの種
最初の、そしておそらく最大の長期的な問題は、アンチマネーロンダリング(AML)の取り組みに関するものだ。連邦法執行機関はブロックチェーンネットワーク上の不正取引を追跡することにかなり熟達してきているが、トルネード・キャッシュ(Tornado Cash)の開発者に対する現在進行中の訴訟のような注目度の高いケースは、この問題が政府全体にとって重要であることを示している。
最近、トルネード・キャッシュのようなサービスのプライバシー保護機能を維持しながら、法執行機関の懸念を改善するためのテクノロジー主導のソリューションがいくつか提案されているが、AMLの問題は、連邦政府が暗号資産の広範な使用を一般的に受け入れる際の障害点として存続する可能性が高い。
暗号資産に特化した法案、暗号推進派の政治家
2つ目の問題は、法案を上下両院で通過させ、法制化する可能性が最も高い道筋についてだ。暗号資産擁護派がこの夏、複数の暗号資産に特化して出した法案がそれぞれ対応する下院委員会で可決されるという画期的な出来事を祝ったのはもっともなことだが、現在の差し迫った問題は、これらの法案が下院、そして上院でどのような運命をたどるのかという点だ。
現在選出されている議員の間に、新たな暗号資産規制について合意に至るだけの共通点はあるのだろうか。その答えは、これら一連の法案が下院本会議で、そしておそらくそれに続いて上院で採決されることを見守るなかで、時間の経過とともに明らかになっていくだろう。だが、暗号資産テクノロジーに対する議会の見方を変えるためには、暗号資産テクノロジー支持派の候補者を選挙で支援することが最善の長期的戦略であることを思い知らされるはずだ。
私たちは過去数年間、暗号資産支持派を育成する上で大きな前進を遂げ、議会が全体として、暗号資産をどのように考えているのか、これまで以上に把握できるようになったが、まだまだ仕事はたくさん残っている。
規制の大転換
最後に、大きな選挙を目前に控え、連邦規制当局の人事という未知の問題を取り上げる。2024年の大統領選の結果次第では、デジタル資産の開発、利用、拡散に対して、より賢明な視点を持つ可能性のあるフレッシュな顔ぶれを迎え入れることで、関連する規制機関の大転換が起こるかもしれない。
ホワイトハウスが変わらなかったとしても、SECを筆頭とするいくつかの規制当局で最近起きた法的な損失が流れを変え、異なるアプローチが必要だと、国内の業界を統制しようとする暗号資産反対派を説得するかもしれない。
法廷での敗訴が続くと、何度も敗訴を繰り返すことに苛立ちを募らせた職員がこれらの機関から出ていくかもしれない。いずれにせよ、「人事は政策なり」という格言があるように、可能な限り、暗号資産を推進する人材が政府機関に入ることを奨励することが重要だ。
これからの5年
デジタル資産のエコシステムにとって、この5年間は必ずしも平坦なものではなかった。しかしそれは同時に、ワシントンD.C.における業界の発言力の活性化にも一役買った。
ブロックチェーン協会は、アメリカにおける暗号資産の未来を前進させるという揺るぎない使命を持って、業界の代弁者であることを誇りに思っている。
私たちは、今後5年間、そしてこれからもずっと、私たちのメンバー、そして業界全体を代表して、ワシントンD.C.で主張を続けていく。
参考資料:https://www.coindeskjapan.com/201482/
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Source: Rippleリップル)仮想通貨情報局